▲前立腺がんの抗がん剤が効かなくなった患者に既存の抗ウイルス薬を併用すると、再び効果が得られる可能性があるとの研究結果を、慶応大などのグループがまとめた。来春から医師主導の治験を始める計画。京都市で開かれている日本癌(がん)治療学会で30日、発表した。

 前立腺がんは、日本人の男性では胃がんに次いで多い。進行した場合の標準的な治療として抗がん剤「ドセタキセル」が広く用いられているが、使い続けるうちに効果が弱まり、再びがんが増殖してしまうケースも少なくないという。

 グループは、抗がん剤が効きにくくなった状態のがん細胞では、遺伝子の働きが変化していることに着目。その変化を打ち消す既存の薬を探し、肝炎治療に使われている抗ウイルス薬「リバビリン」を見つけた。

 抗がん剤の効かなくなった患者5人にリバビリンを併用した臨床試験では、2人でがんの指標となる「PSA」の数値が下がり、うち1人は画像診断で骨に転移したがんが消えていたという。小坂威雄(たけお)・慶応大専任講師(泌尿器科学)は「リバビリン投与が、抗がん剤が効きにくくなったがんを、効くがんに巻き戻すと考えられる。新たな治療法の一つになると期待できる」と話す。
引用元:前立腺がん:治療に光 抗がん剤、肝炎薬で効果復活 慶大チーム - 毎日新聞

▲慶応義塾大学医学部の大家基嗣(もとつぐ)教授や小坂威雄(たけお)専任講師らは、抗がん剤が効かなくなったがんに対し、別の薬剤の投与で再び抗がん剤が効くようにする新しい治療法の臨床試験に成功した。抗がん剤「ドセタキセル」が効かなくなった進行性の前立腺がんの患者に対して抗肝炎ウイルス薬「リバビリン」を併用し、5例中2例において前立腺がんのバイオマーカー(目印となる生体物質)の値が下がることを確認した。
nkx20151030eaad

 現在、ドセタキセルが効かなくなった前立腺がんに対する有効な治療法はないため、新たな治療法として期待できる。2016年3月をめどに慶大病院で医師主導型の治験を始める。
 研究チームは、ドセタキセルが効きにくいがん細胞を持つマウスに、ドセタキセルとリバビリンを投与することで治療の有効性を確認していた。抗がん剤が効かなくなるよう変化したがん細胞中の遺伝子の性質を、再び効くようにリバビリンが変化させる作用メカニズムが考えられるという。
引用元:慶大、耐性がんに別の薬物投与し再び抗がん剤治療を有効にする治療法の臨床試験に成功:日刊工業新聞